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小北 康弘; 加藤 丈典*; 湯口 貴史*
no journal, ,
花崗岩を含む深成岩体は、地下深部でマグマ溜りが徐冷することにより形成される。珪長質な深成岩は大陸地殻の主要な構成岩石であり、その形成プロセスの解明は、大陸地殻の発達・進化の解明に寄与する。また、深成岩体冷却の温度・時間履歴は、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業におけるサイト選定や安全評価のための有用な知見となりうる。深成岩体に産出する石英は、そのチタン濃度から結晶化温度を推定することができ、深成岩体冷却の物理条件の議論に有用である。本研究では、深成岩体の定置から固化に至る冷却プロセスの温度条件を制約することを目的とし、東北日本、遠野複合深成岩体の石英について結晶化温度の推定を行った。遠野岩体は、岩体中央部と周辺部で形成環境の違いが指摘されている。石英中のTi濃度は、中心部で最大28711ppm、周辺部で最大47214ppmとなった。濃度の最低値は、いずれの領域においても検出限界(15ppm)以下となった。Ti濃度の分布幅を石英の結晶化温度の幅と読み替えると、石英が結晶化した温度の幅は、岩相ごとに異なるといえる。このことは、石英が結晶化に要した時間の幅、つまりマグマの冷却時間が各岩相で異なると解釈できる。なお、本研究は発表者が大学在籍時に実施した内容である。